アメリカでの転職活動2022
去年サンフランシスコにあるFintechのスタートアップに転職しましたと書きましたが、なんと1年も経たないうちに会社が資金難で潰れてしまいました…。 会社には日本人の方も何人かいて、1ヶ月前に元同僚の方がブログに詳細をまとめて下さっています。会社が倒産した経緯などはそちらを見ていただくとして、自分も転職活動を振り返ってみようと思います。
ちなみに自分のステータスとしてはビザはH-1B、経験年数12年(うちアメリカで5年)のフルスタックソフトウェアエンジニア(バックエンドメイン)です。
仕事探し
LinkedIn、Twitterを使って探しました。仕事募集中の投稿直後からたくさんの方にお声がけいただけたので嬉しかったです。たださすがにフルタイムで転職活動しても全ては受けきれない数だったので、スキルマッチしそうな仕事 (プログラミング言語としてはClojure、Scala、Dart/Flutter辺り)やプロダクトが面白そうな仕事に絞りました。自分で興味のある会社にも応募しました。応募した会社のリストはGoogleスプレッドシートで管理していました。合計41社に応募しました。
レジュメ審査
応募後はレジュメ審査がありそこを突破すると面接に進めますが、大手企業はリファラルがない所は返事がないか来ても1ヶ月後とかでした。他の記事でも見かけましたが、大手企業を受けるならまずはなんとか知り合いを見つけてリファラルしてもらうのが確実なようです。スタートアップはスキルマッチしていれば連絡は来ました。 応募した41社中連絡が来たのは19社でした。
リクルーター面接
レジュメに興味を持ってもらえると次にリクルーターから電話がかかってきて、選考プロセス、仕事内容、ビザステータスや希望年収とかを聞かれました。お互い最低限の条件がマッチするか確認するだけなので、幸いこのステップで落ちることはありませんでした。
技術面接(+マネージャ面接)
リクルーター面接の次は1時間程の技術面接でした。バックエンドのポジションはLeetCodeのようなコーディング面接、FlutterのポジションはFlutterの知識を問う面接でした。会社によってはこの技術面接の前に応募したポジションのマネージャとの面接がある所があったり、このステップがなくいきなり次のオンサイト面接に進めた所もありました。この技術面接を突破したのは7社でした。
オンサイト面接
オンサイト面接はさらに複数のコーディング面接に加えて、Behavioral Interview(過去の経験とそれにどう対応したかについての質問)、System Design Interviewがありました。System Design Interviewは問題があえて抽象化されていることが多く、自分で色々質問して機能・非機能要件を聞きながら大まかな設計をする必要があるのですが、これが一番大変でした。オンサイト面接を突破したのは3社でした。
最終面接
オンサイト面接の後はFounderやVP of Engineeringのような偉い人との面接がありました。このステップがなくすぐオファーがもらえる会社もありました。基本的にはオンサイトと同じBehavioral Interviewで過去の経験をより深掘りされた感じです。このステップで落ちることはなかったです。
オファー
オンサイト面接を突破した3社+潰れた会社が買収されてその会社からもオファーがあったため、合計4社からオファーをもらいました。
転職先
Willow Innovations, Incというウェアラブルスマート搾乳機を作っているスタートアップでモバイルアプリエンジニアをやることになりました。Flutterの仕事に応募して面接時もFlutterについてかなり色々聞かれたのですが、入社前にFlutterからAndroid/iOSネイティブに移行するという決定がされたため、入社後はiOSアプリの開発をしています。iOSネイティブアプリの開発経験は3ヶ月しかないため、毎日勉強中です…。
H-1Bビザトランスファー
前職の最後の給料が支払われたのは3/21で、その後はしばらくFurloughという一時解雇状態になっており5/10まで雇用は継続していました(給料もベネフィットも一切ないので、会社に籍があるというだけ)。H-1Bのグレースピリオドは60日なので、てっきり5/10から60日以内に新しい仕事を決めればいいのかと思っていたのですが、移民弁護士によるとどうもH-1Bビザは雇用主が契約で決められた給料を払えなくなった時点で無効になるらしく、実は最後に給料が支払われた3/21から60日が本当のグレースピリオドだったようです。オファーにサインしてから移民弁護士に言われた必要書類を準備して、USCISにビザトランスファーの書類を送付したのが6/7だったのですが、この時点で60日のグレースピリオドを過ぎていたため弁護士からはトランスファーが承認されても一旦日本に帰って大使館でビザを更新する必要がある可能性が高いと言われました。幸いUSCISからは特に何も言われず、6/14に無事トランスファーが承認され、一時帰国も必要なかったです。
保険
カリフォルニアではCovered Californiaと呼ばれる州が補助金を出している保険があり、仕事を無くして収入が一定以下になるとここで安い保険に入ることができます。自分と妻はCovered Californiaで安い保険に入り、2歳の息子はMedi-Calという州が提供している無料の保険に入ることができました。
自分達はKaiserの保険だったので引き続きKaiserを使いたかったのですが、Medi-CalでKaiserを使い続ける手続きが複雑で、何度もKaiserとサンマテオCountyに電話をかけてしかもたらい回しにされ、かなり疲弊しました。しかも手続きに2ヶ月かかり、実質1ヶ月くらいしか使いませんでした。息子は自閉症がありKaiser経由でスピーチセラピーを毎週受けていたのですが、仕事を失ったのと同時に保険も無くなってしまったため、このセラピーも中止されてしまいました。その後リージョナルセンター経由で別のセラピーを開始しましたが、親の都合で子供の大事なセラピーが影響を受けてしまうこの国の医療保険制度はいかがなものかと思いました。
転職活動雑感
アメリカはここの所インフレが激しく、ガソリンや食料品などの値段がどんどん上がっているため、毎月の生活費も当然どんどん上がっており、一切収入のない状態が約3ヶ月続いたのは懐的にも精神的にも結構きつかったです。H-1Bビザは自由に転職できるとはいえ、60日のグレースピリオドもありますし、新しい仕事が見つかってもビザトランスファーに1ヶ月はかかってしまいます。こういったリスクを抑えるべく早くグリーンカード(永住権)がほしかったので、今回の転職活動ではグリーンカードをなるべく早くスポンサーしてくれる会社を探していました。幸いWillowでは入社初日からグリーンカードをスポンサーしてもらえ、すでに最初のステップであるPERMの申請書類を準備している段階です。
今後
グリーンカード取るまでは色々と制約があったり、銃撃事件が絶えなかったり、安くて美味しいご飯屋がなかったりと色々とアメリカに不満はありますが、世界中から集まった優秀なエンジニアと一緒に仕事をするのは楽しいですし、給料も3年前に日本のスタートアップで働いていた時に比べると3倍になったので(円安の影響も大きいですが)、まだしばらくはアメリカで働く予定です。早くグリーンカードゲットして自由を手に入れたいです。